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1.頭脳明晰、運動神経抜群。『何でもできる』と頼れるその男。しかし『やりたいこと』だけはできないのであった。
プロローグ・キャラ紹介・黒幕を出しておく
願望:恋がしてみたい

 

2.次期生徒会長の座(規律を重んじる保守派vs自由主義を掲げる改革派)
おカタく融通の利かない保守派を疎ましく思う声と、何をしでかすか分からない改革派に不安を覚える声。
双方を個別に説得し、一方が生徒会長になったら他方は副会長として任命することでバランスを保つ案を提案。
最後は自身も出て都合のいいマニフェストを掲げる中で、結託した二人で対抗。総合票で勝負し負けることで解決する。

 

3.転入生(過去の軋轢)
季節外れの転入生。彼はかつて主人公に大敗を喫していた。
 ・中学1年の頃は頭脳明晰、運動神経抜群の神童ともてはやされていたが、2年で転入してきた主人公にそれ以上の能力で上回られる。
 ・それまで見下していた生徒から仕返しとばかりにそのことを冷やかされ、自尊心の消耗から不登校に。
 ・不登校の間はずっと勉強しており、満を持して2年学年末テストに臨むも敗れる。
 ・学校の特色でもある毎年のクラス替えで主人公とは別のクラスになるものの、結果は学年全体に広がっており結局かつての威厳を取り戻すことは叶わなかった。
 ・中退こそしなかったものの体育祭や文化祭など目立った行事は全て欠席し、以降主人公と会うことはなかった。
転入以降は孤立しており、やさぐれた彼の性格は攻撃的となった。
ある日の朝、登校中にぶつかった生徒と言い争いになり、正当防衛の元で暴力の応酬にまで拡大した。
不運なことは相手は不良グループの一員で、彼はその日の放課後に拉致られてしまう。
椅子に縛り付けられて殴打や蹴りを食らう彼だが、一向に折れず、それどころか売り言葉に買い言葉で不良グループの怒りをあおってしまう。
金属バットが出てきたところで死を覚悟した彼だが、そこに登場したのは警察を引き連れた主人公だった。
転入以来彼を気に掛けていた主人公はクラスメイトからことの次第を聞き、教員に報告。拉致した先までを人脈情報網で突き止め、学校が要請した警察を引き連れて助けにくるのだった。
彼は救急車で病院まで運ばれ、容態が安定したところで主人公を呼び出す。
過去をいつまでも引きずる自分を嘲りながら、今日までの経緯を主人公に話す。
理由を知った主人公は今度勉強会を開こうと言い出す。
訝しく思う彼であったが、指定された日に指定された場所へ素直に赴く。
するとそこには『今の』彼のクラスメイトたちがいた。
やさぐれてからは勉強すらしていなかった彼だが、そもそもの地頭の良さが功を奏し、勉強を通じて友人ができる。
彼は改心し、主人公とはライバルとして、そして友達として、改めて接して欲しいと主人公に頼む。
主人公はこれを了解し、こうして事件は幕を下ろした。

 

4.ストーカー被害(コーラス部の歌姫)
コーラス部の歌姫と呼ばれる彼女は、ともすればアイドルと呼んでも差し支えない容姿を併せ持っていた。しかしそれが災いしたのか、最近彼女は視線を感じていた。常にというわけではなく、時々。日常生活の中で過敏な反応を余儀なくされた彼女の精神的な疲労は日々溜まっていった。
自分が忘れ物をしただけの時でさえ周囲の人間を疑ってしまうほどだった。
八方塞がりに陥った彼女は、生徒会により校内各所に設置されている意見収集設備「目安箱」に着目する。

ある日匿名で投函された意見の内容は、女子更衣室が盗撮されているかもしれない、というものだった。
生徒会はただちに調査を開始したが不審な要素は見当たらず、改めて行われた選挙で入選した保守派の生徒会長と改革派の副会長は、引っ掛かりを覚えながらも教員を交えた生徒会内の多数決によりイタズラと判断する。

件の投函をした生徒、通称コーラス部の歌姫は生徒会の決定に、抱いていた僅かな期待の反動を受ける。明確な証拠がない以上警察は動かせないことをネットで知っていた彼女は、最後の手段として主人公を頼ることにする。

ストーカー被害の相談を受けた主人公は、疲弊した彼女の様子に事を無下にできないと悟る。
一応やるだけやってみることにした主人公は、まず生徒会を訪れ、トップ二人に相談者の名前を伏せて相談する。
この持ち込みによりイタズラじゃないことに信憑性が増し、生徒会並びに教職員は改めて調査に乗り込むことに。
表の捜査を生徒会に任せた主人公は「時々」視線を感じることに興味を持っていた。
それにより校外犯なのか校内犯なのかだけでも暴けると考えた主人公は歌姫に、「視線を感じたら都度メールを送ってほしい」と頼む。
数日に及ぶ調査の結果、防犯強化に努めることにした学校側。歯がゆく感じる生徒会の二人だったが、一方で個人調査を続けていた主人公から
 ・校外にいる間よりも校内にいる間の方が報告が圧倒的に多いこと
 ・校内での報告も、ある位置にいる時だけであること(固定望遠鏡)
(・校外での報告は通学中、と自宅にいる時。)
校外犯である可能性が高いことを告げられる。
望遠鏡の有効範囲から計算して周辺住民であることを突き止めた主人公は、日常生活の大半を歌姫と過ごすことで相手を刺激することにする。
効果は三日目から現れ始める。
通学を歌姫とともにする主人公に攻撃的な視線が浴びせられた。
察知した主人公はその日の放課後を、三日ぶりに一人で帰ることにした。
自主勉強という名目で陽が落ちるまで残った主人公は、ICレコーダーを起動状態で胸ポケットにしまい学校を後にする。
少し意識的に、緩慢に家路を往く主人公。大通りを逸れ民家も少ない道を選んで帰っていると、見計らったように男子学生が現れる。
イベント以来歌姫の熱狂的なファンになったという彼は、主人公に「これ以上は近づくな」と警告を発する。所属の高校を口に出しながら相手を挑発する主人公(「これ以上近づいたらどうなるんだ? ~学校生くん」)。
待ってましたと言わんばかりに学生はニヤリと口角を吊り上げ、「こうなる」と言った。
直後、主人公は後ろからスタンガンを押し当てられ気を失う。
目覚めると、昨夜倒れた場所でそのまま気を失っていた主人公はスタンガンの危険性を愚痴りながら学校へ向かう。
もうじき昼休みを迎える学校への道すがら両親に言い訳を済ませた主人公は、普段通り学校に入り、生徒会室を目指す。(道中で体が痛むとごちる)
会議を告げる校内放送を聞いた主人公はこれ幸いと乗り込み、録音しておいたレコーダーで事件の犯人を生徒会・教職員に告げる。
犯人である生徒は姉妹校の所属であることが分かった教職員は急いで生徒データを取り寄せ、主人公に照合させる。
犯人を特定した主人公たち。職員たちが処分を検討すべく話し合いの日程調整を進める中、姉妹校からもたらされたのは処分の保留願いだった。

 

5-1.姉妹校の対立(運営経営:生徒会長)
姉妹校からもたらされた保留願い。その理由は「今後の学校運営に関わるから」というものだった。
自己中心的な言い分に業を煮やす生徒会トップ。温和な性格の歌姫も当然のことながら腹を立てるほどだ。そんな言い分が通るわけがないと一蹴しようとするも、受理されない限り当校生徒には存在しないと言い出す始末。
電話では埒が開かないとして突撃を決める教職員。
しかし結果は手ぶらだった。
彼らが言うには「職を失う可能性」「職員を路頭に迷わせるわけにはいかない」「逆恨みでもしたら困るのは誰か」など、言葉巧みに追い返されたという。
さらに相手は大人ではなく姉妹校の生徒会長だと言う。
呆れる一同であったが、逆に生徒同士でも話し合いになる可能性を見出す。
今回の件で当人以上にご立腹の生徒会長にストッパー役の副会長、当人である歌姫と当人の要請でお供することになった主人公。計四人で姉妹校会長の元を訪れる。
前置きもなく始まる会議。大人から見れば子ども話し合い。しかしその実動いているのは子どもというには背負っているものが重すぎる人間たちだった。
互いの主張をぶつけ合い、何とか妥協点を見出そうとする主人公。
放し飼い、つまり退学処置と御咎め無しだけは阻止したいこちら、世間体的に犯罪者を出すわけにはいかないあちら。
挙句の果てに慰謝料での解決をちらつかせる姉妹校会長に、生徒会長は激怒し、副会長は呆れ、歌姫は涙ぐんだ。
気まずい空気が会議室を満たす中、歌姫の、ストーカー被害による苦しみの独白が響く。それまで毅然としていた姉妹校会長はうつむき、その表情は曇っていく。
当然と言えば当然だが、主張に罪悪感がないわけではないことに気付いた主人公。
妥協を引き出すべく、一か月後にせまる文化祭を合同で開催することを提案する。
所属する生徒たちの活気溢れる姿や仲の良さを見せることでイメージを向上(させ、警察にもできる限り手を回しイメージダウンを最小限に抑える)という狙いあってのことだった。
犯行を認知できなかったことや生徒の不手際の責任の所在を改めて考えた姉妹校会長は、その提案で決着をつけることにした。

 5-2.合同文化祭(バンドアンドエンド)
合同文化祭と言えど、校舎が離れている以上はできることは限られていた。
そこで、
 ・各校交互に二日ずつ開催
 ・最低一組合同発表をする
 ・提携企画をたてる
ことを決める。
第一と第三項目は容易くこなせるものの、頻繁な交流があるわけではない名ばかりの姉妹校では第二項目の解決が難しかった。
そもそも交流がある生徒がいない、初めて同士だと失敗の可能性が高い、最悪更なる軋轢を生む。
これらの意見が出た所で双方の教員は気付くのだった。
主人公を含めた生徒会同士なら既に知り合っていることに。
その発見は直後に新たなる閃きを生み出した。
教員の提案によってバンド発表をすることになった主人公と生徒会組。男女比の不利さから友人を誘い、友人の提案で歌姫も誘うことになり、総合六人のバンドが結成された。
各クラスの催し物が順調に決まり、主人公たちも練習の日々が続いていた。
文化祭当日、歌姫の護衛の名のもとに五人はローテーションで校内を回っていた。
あとはバンドが成功すれば計画は大成功。
しかし最終日、バンドの直前で歌姫は姿を消した。
彼女の言動や性格から逃げ出したわけではなさそうだと判断する一行。
周囲を手当たり次第に探すも見つからず、時間は訪れる。
生徒会三人組のトークでつなぐことで時間を稼ぐことに成功した主人公は、連絡役として友人を残し、会場である体育館内を探す。(教室は使われている可能性が高いため)
消去法でキャットウォークを探したところ歌姫発見。
弱音を聞いて励まし、友人に連絡。
生徒会トークで場が盛り上がってきたところで入場。
演奏を披露し、文化祭を大成功に終える。
犯人に関しては逮捕は歌姫の意思で厳重注意・接触の禁止・文化祭の片づけなどで済まされた。

 

6.部活動騒動(幽霊先輩)
主人公の所属する部活の部長宛てに届いた、生徒会印付きの通知書。
「部員が規定数に満ていないため、廃部になるものとする」
勧告なしの直球通知。
現生徒会に抗議すべく、幽霊部員である部長に代わり突撃する主人公。
そこで聞かされたのは、そもそも猶予はあった、という話だった。
前生徒会長と親交のあった部長は、次期生徒会長が決まるまでに部員を集めることを条件に、部員数が部長と主人公のみであることに目をつぶっていた。
しかし次期生徒会長が決まったことでステージは次へ進み、条件を満たしていなかった部活は事前勧告なしに廃部となる、というわけらしい。
それを聞いた主人公は愕然とするが、事情が事情なだけに致し方ないと無理矢理納得しようとする。
その様子を見た副会長は、生徒会長に更なる猶予を提案する。
驚く主人公と悩み始める生徒会長。
主人公には世話になった、何とか丸め込むから今日はもう行くといい、と主人公フレンドリーな副生徒会長。
後日、猶予通知が届くのだった。
 ・本日より一週間の間を猶予期間とする
 ・期間内に四人以上の部員を確保すること
 ・来年度の活動を見据え、三年生はカウントしないこと
以上を条件に、廃部の危機は一旦免れたのである。
次の日、廃部通知が耳に入ったのか珍しく部活に顔を出す幽霊部長。
再猶予について主人公から聞いた幽霊部長は、「何とかしなきゃね……」と呟いて部室をあとにした。
その日以降、校内各所で問題が相次ぐ。あまりの多さに生徒会が対応しきれないほどだ。結果、現生徒会と親交の厚い主人公と、補佐役の友人が駆り出されることになる。
問題解決後部室に戻ると、そこには幽霊部長の姿が。
主人公が駆り出されたことを知っており、「勧誘してきた~?」と当然のように言い出す。
問いただすと、どうやら一連の騒動は全て部長の仕組んだことらしかった。
当たり前だが生徒会にバレると確実に廃部だ。
主人公は部長に厳重注意をした後で家路についた。

 6-2.問題発生(ウチの部活は不幸です)
兼部であるという利点を生かして、なんとか方々の友達に声をかける主人公。
しかしもうじき三年引退の時期ということもあり、中々部員は集まらなかった。
主人公はダメ元で生徒会の二人、同学年の友人、一年の歌姫に声を掛け、入部届だけ渡すことに成功した。
生徒会の二人は教員に要相談、友人は二つ返事で了承、歌姫はあくまでコーラス部優先という条件付きながら、主人公は部員の獲得に成功した。
初顔合わせということで早速部活に顔を出した友人と歌姫だったが、入部する旨を伝えた友達から、口を揃えて「あの部活は不幸になるぞ」と脅かされたらしい。
顔を出さない部長を除く三人が推測に熱を注いでいる頃、
生徒会の二人はなんとか入部許可を得るのだった。
条件通り期間内に、三年を除く新入部員四人を獲得した主人公はひとまずの安寧を手にする。
再猶予期間が実質的に終了し、活動始めの一週間を目前に控えた各員。
彼らに降りかかる「不幸」が影を見せるのだった。
主人公を除く四人に降りかかる不幸、例えば水を丸被りしたり、例えば道端のガムを踏んでしまったりが続く。
裏があると感づいた主人公はそれぞれの現場を赴き手掛かりを探す。
浮かび上がってきたのは幽霊部長の姿だった。

 6-3.黒幕(ずっと前からキミが好き)
入部が決まってから向こう、数々の事件を起こしていた犯人は部長だった。
部長は伸びきった髪の毛を束ねつつ言う。
「あなたのことが好きだから。せっかく二人きりの部活なんだもの。最後の思い出なんだもの、邪魔なんか入らせないわ」
そういった部長は部屋を去る。
何をどうしようと思ったわけじゃない。ただ慌てて追いかけた。
屋上に出て待っていた光景は飛び降り自殺寸前の部長の姿だった。
彼女は取引を持ち掛ける。
「私をドキッっとさせてみて。そしたらこんなことやめてあげる」
心なしか挑発的な言動。勢い任せに言うべきではないが、売り言葉に買い言葉で、主人公は了承する。
主人公の、不器用な言葉が紡がれる。
『やりたいことはできない男』。彼のやりたいことは恋だった。
今までの彼からは考えられないような、幼稚で陳腐な言葉の羅列。
それを受けて彼女は、拙いなりに一所懸命を尽くす彼にときめくのだった。

7.やりたいこともできる男
屋上での一件の後、部長は毎回の部活に顔を出すようになった。生徒会組と友人と歌姫が入部を決めてからは初めてのことだ。
自己紹介に合わせて行われる質疑応答。女性陣の会話の種は、いつの間にか恋に移っていた。
そして暴露される屋上での一件。
それまで和やかだった室内の空気は途端に重みを増し、女性全員が、油の差されていない工具の様に、主人公へと振り向くのであった。
詰め寄られる主人公。少し離れた所から見守る部長と友人。女性陣にもみくちゃにされる中、この前のお礼に、と菓子折りを持った姉妹校会長も現れる。
ご丁寧に個別のお土産も併せて。
三つの石によりできた波紋に、新たな波紋が加わるのだった。
如何に鈍感で、恋が苦手な男子でも、直接言葉にされれば否が応でも
気付くだろう。

Fin