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 後悔というものはいつも唐突で、そして――必然だ。
 人の意思と行動が折り重なり、必然と必然が絡み合い生まれる結果。
 それ故にすべての物事に〝因果〟があり、偶然や奇跡といったものが介在することが出来ない。
 気付いたときには遅く、ただ悔やむことしか出来ないもの、それが後悔である。
 だから人はやり直したい、もう一度と、切に願う。
 そして俺もまた、気付いたときには遅く、後悔していた。
 このときも、また――
 トン、と背中をなにかに押される。
 たいした力でもないのに、そこへ落ちることが決定付けられているかのように、俺は抵抗も出来ずに落ちていく。
 俺の視界に映るのは、赤い満月を反射する水面。
 落ちる瞬間に後ろを振り返り、そこにいたのは俺のよく知る巫女服を着た幼馴染みの少女で、疑問と確信を持ちながら、なんでと、問いたかった。
 しかし俺の願いは届かず、少女は悲しそうな顔をしながら、
「ごめんね、優十……」
 そう、口にした。
 彼女は俺に助けを求めていたのに、俺は今の今まで気付かず、すべてをわかったときには、もう手遅れだった。
 そして事ここに至って、ようやくこれが俺の『後悔』なんだと、今更ながらに理解した。 もう、何度目になるんだろうか……。
 ただただ受け入れられず、否定し続けて、それでも俺の手は届かない。

 だから――俺は回帰する。

 こんな結末など受け入れたくないから。なにより彼女を失いたくないから。
 すべてを拒絶し、認めない巻き戻せと、森羅万象に命じる。
 俺の視界の中心で光が瞬き、緑色の光の粒子が渦のように収束する。
 自ら流れるような感覚と、強制的に押し流される二つの感覚を覚えながら、俺の意識は暗転する。
 命の炎を燃やし、頭の中の様々なものを忘却し、すべてを成す。
 失われていくものを感じながら、俺は確かな決意を胸に、すべての始まりの時間へと向かう。
 みんなで過ごしたあの幸せな時間に、もう一度帰る。
 俺が戻りたいと思った時間。
 俺がやり直したいと願った時間。
 こんな結末だけは、絶対に認めない。
 何千何万回になろうとも、すべてを終わらせるために俺は回帰する。

 だから――辛くて幸せな、後悔と回帰の物語を、もう一度始めよう――