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物語創作講義
『ウィンター』著:鄭 凱元

※こちらの文章は留学生が執筆したものとなっております。日本語などの修正はせず、そのまま掲載しております。ご了承ください。

 神殿に入ると、その広さに驚いた。
 数人が松明もっているのにもかかわらず、前方奥が真っ黒、村の地下にこんな広い空間があるなんて、誰も知らなかった。
 外は正午、少なくても多少の日光があるはず、でも、入り口でさえ暗闇に包まれている。
「隊長、かなり暗いので、お気を付けて!」
「ああ、ありがとう」
 部下たち呼んでいる隊長は、私のことだ。
 私はイアン、この名前は母が付けた名前である。
 母が十数年前、山へ出かけるきり、戻れなくなっていた。父も母を探すため、山へ行ったきり帰ってこない。
 あれから転々とした日々を送った、今はとある調査隊の分隊長やっている、そんなに稼ぐことがないが、無駄遣いしない限りかなり余裕ができる。
「隊長、ここに何かあるらしい!」
 部下の声で現実を引き戻された私は、部下たちの指を指す方向で見ると、巨大な壁画が見える。
 松明を光源にし、全体見えるのはやや難しい、それでも、壁画の大きさに驚いた。壁の長さは見えない、大部分が暗闇の中に。高さはおよそ3人分成人男性の高さがあり、松明の光源範囲内での話。
 松明の微弱の光源を借りて、壁画の内容を見始めた、ですが、所々の風が通っているため、とても見づらい、近づいてみようとしたら、逆に自分の影が邪魔になる。加えて、光届く範囲はせいぜい一人くらいの範囲、それ以上は見えない、限りある光の範囲内で、壁画を研究し始めた。壁に描かれた絵は特徴的で、簡単に言うと。凶悪な顔つき怪物、猛吹雪のような天気と逃げ回る人々が描かれている、続きを見ると、生き残った人が神の仕業だと思って、祈りを捧げたけど、足りないみたい、そこからは段々酷くなっている、生の人間を生贄とし、神にささげようとした。
「ひどい話だな、しかし、どこか聞いたような気がする」
 気になる、記憶のどこか確かに似たような話が聞いた覚えがある、だが、記憶が曖昧で、どうしても思い出さない。
 怪物、吹雪、人、この三つの関連性はわかるけど、何せ、どうしてまでははっきりしていない。
 よく見ると、怪物がかなりでかい、人間より大きい四足生物。まるでおとぎ話の中にしかでてこない生物だ。
 ふっと思い出した、母がまた失踪していた前のとき、寝る前よくおとぎ話を話してくれた。
 母はこの国の人ではない、ただ、父と母はこの国で出会い、結婚した。
「むかーしむかーし、あるところにとある大きい国がある、賢王が国を治めたおかけで、みんな幸せに暮らせる。だが、あるひ、そんな平和が破られた。長い辛い冬が来た、猛吹雪を降り、周りは真っ白。そして、吹雪の中から見たことがない怪物が現れた、怪物は凶悪で人を襲い掛かってくる、賢王がそれを知り、軍まで動かした。けれど、怪物は吹雪の日しか出現されない。軍が駆けつけたどころ、村はもう誰もいない。そして、数日後、王城周辺も吹雪が吹き始めた、そして、吹雪と伴っているのは人喰い怪物、怪物は吹雪と共に出現し、吹雪と共に消える、どこに出現するのか全く予測できない。さらに数日後、今度は王城の中に……」
「……」
 突然、周りが明るくなって、まぶしい光が私を現実に戻された。
 急に思考が途切れ、無理やり現実に戻された。よく見ると、壁の周りの柱に一本ずつ松明が置いてある。それらに火を付けるだけで回りを十分照らされた。壁画は入り口から降りてすぐ左側にある、右手は小さな石で積み立てた名状しがたい祠堂っぽいものがいっぱい並んでいる。もうちょっと前に進むと、人の骨らしきものが散らかしている。拾えて見ると、すべての骨に傷がある、祠堂の下には大きな六芒星の陣が地面に彫り込まれている、祠堂が陣の上に立てられている、祠堂の中には何もない、何者により故意に持っていかれたのか、それとも最初からこうなっているのかがわからない。右手の壁にも壁画が描かれている、内容は少し違うらしい、後ろに向くと、ピラミッドのような階段がある、階段の一番上に何かを置いているらしい。そいう気がする。
 光が周りを照らしたおかけで、周りをよく見える、東西南北四つの方角に周それぞれ容姿違う石像が置いてある、怒りの像、悲しみの像、笑える像。
「きしょくわる」
 像を見て軽く感想を言った。
「周りを探せ! 有用なもの見逃さないように! あとは、仕掛けかからないように気を使うだ」
 命令を出し、有用な情報見つかるように祈る。
 神殿はかなり広く、村一個分余裕で入れる広さに再び驚いた。神殿の所々が謎の陣が刻まれている。
 周囲に散乱した白骨はかなり古いものらしい、触れるだけで塵になりそう。白骨の姿勢は東南方角に向かって、祈りをしているらしい、生前は何かあったのかわからない、けれど、明らかに礼拝の最中何かあって、即死したから、じゃないと、この姿勢じゃ絶対ありえない。
 今、把握している状況を見れば、あの陣は邪教と関わる可能性が大きい、きっと何かの儀式として使われるでしょう。
 壁画描かれた絵は完全に信じるわけではない、但し、地下には不可解なことが多すぎる、無理やり信じさせるような雰囲気。
 色々考えこむどころ、部下の方は何か発見があるみたい。
「隊長、こっちだ、この像の中、何かあるみたい」
 部下の方向に見ると、頭が欠けている石像が見える
 ものが石像の下にある、怪物の石像が踏んでいる土台の中にある。
「よくやったな、この中に何かあるのか知らないが、多分、ここ最近すべての謎が解けるはずだ」
 今思い出せば、一連の不祥事と各地に奔走したせいで、まともな休憩はしていないらしい。
 二か月前、王城周辺から始め、不規則な移動ルート、つながりは邪教絡みしかない。いまだなんの邪教なのかさえわからない、国王の命令なければ、こんな仕事やってられるかぁ、頭の中軽くツッコミし続、軽く、「もの」を出した。
「もの」は巻物、開くとびっしりと文字がたくさん書き込んでいる、しかも、読めない。
 急いて取り出したけど、何を書かれているのかを全く読めない、このクソみたいな仕事から抜けられるかと思ったらすべては台無ししたような気分。
「はぁ、とりあえず、これを専門家の解読に任せよう、ウィリアム、お前の手下でこれを王都に」
 ウィリアムは私の副官、彼の手下の一人がいい馬が持っている、この巻物を速やかに王都に送らなきゃ。
 巻物を渡したあと、他のエリアを手下たちに任せ、私は引き続き謎の壁画を研究する。
 改めて見ると、壁画所々が剥がれ落ちている、一部の壁画が特殊な色を使っている。
 さらに、人を襲う怪物の顔のどころが剥がれ落ちている。
 反対側の壁画を見ると、怪物が吹雪の中から身を隠している、その隣はすぐ村の絵を描かれている。絵の中の村人は危険が迫ってくるのを知らず、のんびり作業しているようだ。
「こっちの壁画とあっちの壁画が繋がっているね、やはり母のストーリーただの子供騙しじゃないのか。いえいえ、いくらなんでもおかしすぎ、決定的な証拠がないと、何とも言えない」
 決定的証拠、周りを見ると、最終的に視線がピラミッドの最上端に置いた、あそこならワンチャン重大な発見があるかもって、足も勝手に前に進んだ。
 気づいたら、もうピラミッドの上端に来た。
 目の前にあるのは、石で固く封じられた四角い小さな祠、硬く封じられたため、力絞っても開けられない。
 調査が詰んだかと思ったら、ふっと、下に見下ろすと、気づいた、この神殿が何か仕掛けがある事、一番の謎は地面に彫り込まれた謎の陣、それさえ知れば、あとは陣に合わせ祠を移動すれば、多分足元のこの小さな祠も開けるでしょう。
 そう思ったら、やるしかない、しかし、謎が溢れるこの空間からただ一つの正解を見つけるのは極めて困難の話。
「隊長、ここになにかあるぞ、へんだな、まるで鏡みたいな」
 鏡? こんなところに何故鏡? 謎がまた増えた、謎に謎、もう解ける気がしないですけど。
「とりあえず、一旦上に持っていこう、具体的な用途はまたゆっくりと研究しよう、今日も色々あってさ、そろそろ引き上げるぞ、念の為、数人残して入口の警備を」
 今日は流石につかれた、色々情報ありすぎて、休憩を取らないと体が持たない気がする。
 夜軽く食事をし、すぐに村の宿の客室に戻った。疲れた原因かもしれないが、ベッドで横にしたら、段々瞼が重く感じ、そのまま眠りに落ちた。
 翌日、朝、やけにうるさい、窓の外に覗いてみたら、数人集まって、何か話しているらしい。 きっとなにか面倒ことにでも巻き込んだらしい、首突っ込みたくないけど、責任者となる以上、ほっておくにはいかない。
 軽く事情を聴いた、村人の二人が夜中神殿の中に入ろうとした、見張りがそれを止めたらしいけど、肢体衝突はないらしいけど、何故か急に二人が倒れ、呼んでも呼んでも意識がない、急いて村へ行って、みんなを集めた、村のお医者さんが見てもらったけど、特に異常が見当たらなかった。
 わたしが指揮を取り、まず、この二人を宿屋の室内に運ぶ、衝突はなかったとはいえ、ここで責任を取らないと、将来の探索に支障出るだろう。
「この者たちは私が責任をもって看病します、どうかご安心を。部下たちのご無礼をどうか許してほしい」
 うまく収まるように、表面だけの誠意を見せなきゃ。
 村人の許しを得って、二人を宿屋に運んだ、念のため、村の医師もしばらく看病してもらうことになった。
 客室内、ベッド二つ並んで置いてある、ベッドの上に意識不明の村人の女性二人が寝ている、村の医者は万が一備え、家から薬をもってくる、しばらく私一人が看病することになった。
 突然、呻き声が聞こえた、急いてベッドの前に様子見ようとしたら、服の襟を掴まった、口に中から発する言葉が理解できぬ、何を言っているのか全く見当がつかない。
 次の瞬間、一人の女性がベッドに座って、真っ黒の目でこっちを見て、こう言った。
「逃げなさい、今ならまた間に合う、これ以上深追いするな、遠く、遠くまで逃げなさい、冬の足に追いつかないように遠く、遠く逃げなさい……」
「ギィィ」という音が急に耳元に鳴らし、目の前は何もなかった、ただ意識不明な二人が寝っている、先の音は村の医者さんが部屋に入ってきた音。
「あ、ごめんんさい、起こされた? 大変お疲れのようですね、ここは僕に任せでもいいよ、隊長さんは休んでいていいよ」
「ご好意ありがとうございます。でも、私は大丈夫です」
 今のはなんだ、一瞬幻覚が見えたような気がする。
 今は先生と仲良く話しているけど、冷汗が背中を濡らした。
 頭のなかでさっきのことしか考えていない。さっきの言葉の意味や深追いするなって、後者は理解しやすいけど、前者の方は一体どういう意味かな。でも、もし壁画のことが真実なら、逃げろうという意味も理解しやすいだろう。
 前提としてはそれが真実ということ。
 色々考えている途中、意識不明な二人が目を覚めた。色々聞き込むどころ、二人は何かあったのか全く分からないようだ、これ以上聞き込みしても意味ないと判断され、二人に帰らせた。
 午後、半日遅れの作業に入る、主な仕事は、壁画の研究と遺跡の探査、あとは最近頻発の邪教事件の関連性を探る。
 ですが、解読不能な言葉が沢山並んでいるため、仕事が上手く進まない、加えて、遺跡の方は未だ有力な手掛かりが得ず、邪教との関連性も見当たらないまま。ただゆっくりと時間を費やしているだけ。
 翌日、王都からの手紙が届いた、王都から学者を派遣するらしい、時間を見ると多分出発しているだろう。明日か明後日くらい着く見込みとなっている。
 学者が居れば、私の仕事も楽になる、不可解なこともわかるだろう。と期待しながら、偉い学者の到来を待つだけ。
 三日後、学者がこの小さい村に着いた、同行する人大勢いる、この人口僅か数百人の小さい村が一気に賑やかになった。

 

 学者たちの到来はある意味、それが王の意思表現と考えてもいいだろう、こんなに大人数で来たということはおそらく王都の精鋭が総揃いのようだ。
 地下神殿の探索仕事は多分明日以降再開となるだろう、久々にのんびりできる時間をもらった気がするが、のんきに学者たちの片付けを見る暇は正直ない。
 先日王宮から来た手紙には、はっきりと書かれている、数日内で解明した部分の報告を聞きたいと。
 学者がここにつくまでおよそ三日、手紙は王都からここまで時間はおよそ一日、余裕が出来る時間はない、あと三日や四日で結果が出ないと、王は怒るだろう。
「コルビン、みんなに伝えて。一旦手元の仕事を置いといて、学者の資材配置や荷物の運搬に協力しよう。あと、学者さんたちの需要も最大限に応じよう」
 コルビンは私の副官、大柄な男だ。すごく伸びているあごひげとモサモサの髪がよく悪人と勘違いされるが、あいつは子供が大好きで、いつも教会や孤児院で子供の相手をしている。子供からもだいぶ好かれている。
「は!」
 コルビンが応答したあと、遠くで作業しているほかの部下たちのどころに行った。
 あんまり暇がないとは言え、現在やれるものは部下たちに任せた。今は待つしかない。その間、地下神殿の様子見と、村民たち仕事の手伝いをこなす。一応大勢の人がここに邪魔しているから、村民の手伝いしないと、将来の仕事に支障が出るかもしれない。
 再び現場に戻ると、すでに学者たちが作業に入っていた。
 学者たちがこの村に来た頃は早朝、命令を出してからはちょっとしか時間が経ってないが、太陽の位置を見ると、いつの間にか正午近くになっている。
 いろいろこれから考えているところ、学者のロープを着た学者の一人が、硬い表情でこっちに向けて走ってきた。
「あなたが……隊長……さん、ですよね」
 酷く疲れたようだ、息切れがひどい
「そうだけど、まず、呼吸を整えてから話そう」
 私が隊長だと聞いた瞬間、彼は続きを話そうとしていた。慌てて私は呼吸を整えてから話す提案をした。だが、彼は話はせず、直接紙を渡した。
『が名は……』
 名前が書いている部分は年代が古いため、翻訳不能らしい。
『長い、長い戦いを終え、得たのは、ボロボロの国と無尽蔵な悲しみ』
『愛する人が死に、忠誠を誓った相棒も散った、守るべき国もない、もうこの世には何も残らない、奴らはどこから来たのか、どこに行ったのか誰もわからん、奴らは吹雪とともに出現し、吹雪とともに姿を消す。家の中に隠れても奴らはまるで居場所がわかるように家の中に侵入し、人を喰う』
 想像できないまでもないが、この文書を残した人はどれだけ絶望しただろう。
『どれだけの生存者がいるか私にはもう分からぬだろう、この文書は後世の人のために残す、わしはこの地に奴らの死体を埋めている、どのくらい役に立つだろう、わしにはもうわからないだろう。太陽の光で陣を照らせ、すべてはそこにある……』
 太陽の光を暗い地下に届くようにいろいろと急いで、準備をした。部下数人が地上から鏡で反射する、そのまま入口まで、そこからはうまく地下まで届くようにいろいろと方向を調整した。
 鏡の光が陣の中に当たると、地下の深いところから機械の音が聞こえる、上ってきたのは昇降機と巨大怪物の死体。
 驚いた、いや、もう驚くというレベルを超えた、目の前にある事実に何を言っても無駄だ、これほど巨大な獣は初めて見たかもしれない、それは人が隣に立つと人の小ささが分かるほどの大きさであった。
 さっきまでざわついていた声が今はもう聞こえない、周りが一気に静かになった、周りの声は人の呼吸音のみ。
 次の瞬間、また騒ぎ出した、驚きの声が絶えず
「静かに! これより、現場の指揮権は私がとる。まず、我々は周辺の閉鎖と現場の保護を、学者の皆は研究の準備を」
 すぐに周辺の警戒に入った、今の状況を報告するために、急いで手紙を書き、訓練された伝書鳩を飛ばした。
 冬の獣の死体発見から三日も経った、あれからすぐ周りの保護や記録などが行われた。具体的状況を伝えるために、専門家がわざわざ絵を描いて、王都に送った。
 また、死体の近くに厳重保管された書物もあり、現在、その書物は解読班が急いで解読している。
 獣の死体の高さはおよそ王都にある王城の三分の一くらい、幅が馬車四台並ぶくらいの幅がある。毛の色は真っ白、頭には角が生えている、巨大な爪は石さえ軽く粉砕できそうなほどに鋭い。死んでもなおその顔から生前の凶暴さが見える、大きいな口とギザ歯が依然として人に寒気を与えている。
 死体の隣に文書がおいている、文書は書かれてから百年は経つであろう、しかし、いまになっても腐ることがなく、完璧な保存状態といえる。
「冬の獣は輪廻から外れた、忌まわしい存在。どこから来たのか、またどこに消えるのか、誰も知らない。ただ三百年という期に人間の前に現れ、人を食う。奴らの皮膚は鋼鉄より硬く、奴らの毛は針のようだ。そのため、まともに戦えない。わしらも、数十人の犠牲と引き換えに、一匹を倒した。奴らの生命力は高い、倒してもすぐに死なないが弱点は……」
 ここから筆跡が途切れた、まるで誰かに意図的に消されたようだ。
 消された部分はどうあがいても、無理なものは無理。
 それより今の作業の重心は、あのデカブツの研究だな。
 書物の中に書かれたことは事実なのか、確認することが必要だな。
 まず、一番簡単な検証だ、あのデカブツの毛だ、書物によると、針のようなものって書かれているけど、実際試さないとわからない。デカブツ死体の前に立って、試しに素手で毛を触る、もちろん手丸ごと突っ込むではなく、指一本で試す。
 指一本を立て、少しずつ近づき、徐々に指先との毛の距離を縮める、そして、指先から感覚が伝わってきた。
 思ったより、固くない? 
 普通の毛の触感だ、不思議な感じ。
 問題ないと確認され、思いっきり手のひらで触ってみた。
 やはりだ、普通の毛だ、書物違ったのかな、それとも死んだのかな。わからない、とりあえず、毛が柔らかいことが分かった、多少水分抜けていて、パサパサの触感で間違いない。
「記録係、の毛が柔らかい、これを記録しとけ! 残りは爪と牙だな、毛は大丈夫そうだし、爪と牙の確認はくれぐれ用心するように」
 軽く、仕事を任されたあと、いろいろ回っりたいどころですけど、部下の一人手紙をもって、こっちに来た。
「隊長、王都からの手紙だ」
「わかった、すぐ読むよ。ありがとう」
 王都からの手紙だ、封筒から察するに王室直筆の手紙のようだ。
 よほど大事なことじゃない限り、普段は誰かに代筆で書いてもらっている。『汝の働きぶりは、多くの卿から聞いておる、汝に褒美を与えよう。しかし、事態は我々の想像以上を超えておる。よって、この書信をもって、汝に命令する、直ちに帰還せよ! 』
 王からの賞賛はうれしいが、急に王都に帰るなんて、冗談でも時と場合を考えてほしいものだ。しかし、王の命令とあれば仕方ない。
 部下たちにこのことを伝えて、急いで支度を始めた。
 困惑しても、あんまり考える余裕はない。この国の法律で書かれた、『いかなる時も、王命を優先せよ』とのこと。王命には逆らえないので、一番早い出発を目指すしかない。
「お前たちすまないが、急に王宮からの命令で、急いて帰らないといけない、連日のお仕事お疲れ様です。正式に帰るまでしばらく余裕があると思うので、今一度休んで、しっかり疲れを取ってから出発だ。正式の予想は概ね二日後、現場はこのまま残しておいても構わないが、迷って地下神殿に入り込まないように、入口だけは対策しておいたように、以上」
「隊長、それ、仕方ないじゃ、隊長が謝ることはないよ。むしろそこまで気を使って申し訳ない気持ちになる」
 部下たちが私を慰めた。けど、やはり申し訳ない気持ちがある。
 それから二日間の休みに入り、三日目で正式的に王都に向けて出発した。
 王都との距離が遠いため、概に三日くらいかかる、その間野宿するか、村の宿を借りるかの二択になる。
 野宿はなるべく避けりつつ、次の村へと急ぐことにした。
 この季節の野宿は危険だ、何より、野生動物とかかわると非常に面倒くさくなる。
 過去も何度も野生動物と出会った経験がある、どれも人を襲ったりあるいは人不在の時で野営の地がめちゃくちゃにされたり、それらを避けるため、なるべく次の村の宿で休む。
 そして、三日後、王都ガレムハイドに到着した。
 王都ガレムハイドはガレム山沿いに建てられたものである。ガレム山は近くで見れば頂上までは見えない、たとえ大地の上に仰向きしても見られないほどの高さがある、噂によれば、この大陸の最果て、海とつながっている辺境こそ、その頂上が見える。西大陸において最高峰である。西大陸で唯一山沿いに建てられた都市のため、商業や軍事力も高い強国とてもいえるだろう。
 だが、王都に入ってから、所々異様な空気が流れている。
 普段であれば、ここの大通りは人がたくさん歩いている、今日は寒々とした感じで、周辺辺の店も閑散としている。客が寂しいほどに減っている。
 多くの店も閉まっている、営業している店の数も少ない、その約半分が武器屋。
 どうやら、何かが起きているようだ……
 空気が重い、何より、誰しも真剣な顔している。
 家に戻って、ここ最近のことを考えていたら、伝令の者が現れた、謁見の間で王が待っているらしい。
 すぐにでも支度の準備をし、お城の方向に向かった。
 いつものにぎやかさがない王都、少し寂しい気がする。
 家からはお城まで、そこまで時間はかからない、よく数えると大体千歩くらいの距離。
 城に近づいていると、軽装備の鎧が身にまとう兵士の姿が見かける。
 やはり、なにかあったのは間違いない。
 兵士がいるどころから数百歩、すぐ真正面がお城。
 城が山沿いで建てられている、一番高いどころは山の中腹まで建てられている。
「無駄に豪華というものは、多分これだな」
 はっきり言うと形式主義、己の権利をアピールする代物、私はこれに対して嫌いというより、ちょっと気に食わないだけ。
 城のベースが星イン石という石で作られたもの、頑丈でかつ美観、特徴としては、石の表面に点状なものが存在する。光を当たて、石の中身のぞいてみれば、まるで星空を見ているような感じから、星イン石と呼ばれている。
 城ごとがその稀少な石で作られたもの、だからぜいたくと言っている。
 謁見の間は広い、左右各四本ずつの大黒柱がいる。
 みれば、そこは構造的に城を支えるものでしょう。天井には家紋とみられるものが描かれている。
 視線元に戻すと、真正面が玉座、入口から玉座までの距離はおよそ十数歩、近いとはいえ、視覚的に遠い感がする。
 玉座に座ったのは、現国王であり、女王とも呼ばれる存在。
 玉座の間は広い、周りは大臣の姿が見当たらぬ、広い部屋の中には女王と執事らしいものしかいない。
 身を屈め、片膝を地に着く、頭を下げることで敬意を表す。
「頭をあげたまえ」
「は!」
 頭を上がると、玉座に座っているのは見た目からみれば年齢は十数しか見えないの女児。
 銀色な長い髪、光の反射でピカピカしている王冠、その小さな体を包みこむ大きなドレス、ドレスには家紋や国の紋章が縫っている。
「卿の活躍、わらわの耳元にも届いておる、よって、褒美を与えよう、卿に爵位と封地与えよう、じゃが、封地の方はしばらく待つ必要があるのじゃ」
「あり難く頂戴致します」
「ふむ、卿のさらなる活躍、わらわ期待しておる、早速じゃが、卿に紹介したい人がおるのじゃ」
 紹介? なんの人を紹介するのか、全然見当がつかない。
 そして、出てきたのは重そうな重装の鎧を着ていた女騎士、背中がまっすぐに伸びている、微かだけど、確かに一瞬殺気ようなものが感じた、特に彼女に見られているとき、まるで全身裸にされで、彼女の前に立ったような感じがする。
「卿が知らないかもしれんけど、この子が我が国の将軍じゃ」
 やはり、見た瞬間からわかった、目の前の彼女は現王国最強兵器ともいえる、将軍の座に座っても誰も文句ださないほどの強者(ツワモノ)、彼女がその気があれば、一人で国一つや二つを滅びるでしょう。
「卿にもさぞ気づいておる、いまの王都は昔と比べ、人がいなくなっているのじゃ、わらわが一般の平民に避難を要求したのじゃ。民をこの国に残さるのは危険なのじゃ、だから戦闘員以外の者を全部避難させたのじゃ」
 これで、王都いま起きることが説明できる。
「では、私たちは一体何に対しての準備をするのですか」
「決まっとるじゃ、冬の獣じゃよ、冬の獣、あれを倒せぬ限り、いずれこの国は終わる」
『戦う⁈ いきなりすぎない、今の情報はすさすぎ、どう戦うというのだ、人どころか、国さえ亡びるよ』
 まるで内心の考えが見抜いたよう、将軍である彼女はゆっくり口を開いた。
「そのために、私を呼んだの、わざわざ辺境から、大丈夫、貴公の報告書読んでおる、大体の状況をつかめている、今、工房に依頼した、奴ら工房のイカレ者なら、きっと強力の装備が作れるはずだ」
 さすが武者、怖いもの知らずだな。
「話すのは長くなるのじゃ、折り入って、卿に頼みことがあるのじゃ、採石場からこの城の補強用の物資が届いておるのじゃ、卿にそれを使って、お城の補強をしたいのじゃ」
 全く、面倒ことを全部押しつけやがって。
「承知いたしました、では、すぐに部下を集まって、作業に入る」
「うむ、頼んじゃぞ」
 一礼のあと、謁見の間から退室した、嫌々だけど、それをあんまり表に出さないようにきをつけなきゃ。
 そのあと、部下たちを招集して、簡単に状況説明した後、正式的な作業を取り込むにした。明日から。

 

 深夜、また、変な夢を見た、今回は王都、猛吹雪が王都全体に覆われている、吹雪の中に今まで見たことがない巨大な獣の姿が見える、王城らしき建物に大砲の音が聞こえる、うっすらと大砲の砲口から黄色の炎が見える。
 巨大な獣の後ろに大勢な獣がついている、その巨大な獣と比べれば、まるでぬいぐるみのように小さい、ですが、人と比べると、やはり大きいということ。獣たちが走り回っている、時に、その巨大な爪で城壁を攻撃している。頑丈な城壁が一撃で大穴が開いた。そしたら、獣たちは大穴が開いたどころから入り込んで、中にいる人々襲い始めた。
 吹雪の中にわずか血の匂いがまぜっている、どれだけの人が犠牲にしただろうか、血の匂いがなかなか消さない。
 このままじゃだめ、何とかしないと、心の中に強く思っている。
 目を覚めた、決して気持ちいい眠りではない。
 ああいう夢、まるで未来予測するような感じで、不気味での極まり。
 でも、そんな夢妙に気になる、放置しようとしても、
 簡単な支度をして、すぐに作業を取り掛かっていた。
 作業しているのは、決して私たちではない、大部寂しい王都とはいえ、残った人数も結構いる。
 将軍を紹介してくれたおかけで、王都は今何をしているのがわかった。
 計画が三段階。
 まずは、第一段階、城を司令塔として使う、そのため城ごとが大規模補強を行い、城を中心に周辺地まで防衛線を張る。
 そこからは第二段階、防衛ライン以外のどころが三人を間隔でトラップを設置する、つまり、城以外のどころほぼトラップになっている、もちろんわかるために、いろいろの標識を付けるつもりです。
 第三段階、防衛ライン以外の城壁などで武器を配置。
 城の補強作業は一段落が終わった、これ以上の補強が必要かどうか、それは私の仕事範囲外になるので、僕一人での独断と偏見で決めるものではない。
 あちこちの進捗が遅れている以上、冬の迎撃対策はまずはむりでしょう、このままだと、予測していた工事半分すら完成できてない。
 連続の作業、残った人たちがかなり疲弊している、無理もない、かなり工事の範囲が縮小したとは言え、作業量が倍に増えた。
 備えあれば患いなし、言葉にしては間違っていないけど、現実にはこんな大工事数ヶ月休みなしで急いて準備したら当然疲れる。

 ×         ×          ×        

 城壁に立つ、外の景色を眺めた、いつの間にすっかり秋の景色に変わった、これからのことを考えると気持ちが重くなる。、
 王都背後の山が赤く染めた、肌で感じられる温度も段々寒くなっている。
 数日前から霜ができた、冬が確実に近づいている。
 霜が降ったから、王都に残された戦闘員はどれも表情が硬くなっている。
 防衛ラインの方、おしゃべりが好きな騎士さんも最近割と無口になっている。
 王都全体の空気が日によって段々重くなっている、唯一熱気を感じるのが、王都の東にある工房くらい。
 去年まで、王都は豊穣祭でにぎやかしているのに、豊穣祭は豊作をお祝いする祭り、大通りでのパレードが見どころ、王都の住民から数人を選びだして、豊作の神と神使を演じ、デカイ馬車を使って、住民は馬車の上に立つ、神や神使を演じ、来年の豊作を祈る。毎年国内外から多くの人が集まっていた。
「寂しくなったな、来年もまた賑やかになるといいな」
「わらわが保証する、絶対勝てるのじゃ」
 耳元から女王の声が聞こえた、いつの間に彼女がこの城壁まで登って、私の隣を立っていた、視線が遠いどころを見ながら、強い声で言った。
 この戦いは勝てなきゃ、でも現実はそううまくいくのかな。
 今は、準備できるだけ進めるところに進むしかない。

 ×         ×          ×        

 初雪、寂しい王都が初雪をふり始めた、ガラガラになった大通りに白く染めた、口の中から出た白い息、冬としての定番ともいえるでしょう。
 初雪が降ったことによって、みんないつも以上気を張っている、例のデカブツ(冬の獣)がいつ襲ってくるかわからない以上、一刻の油断も許せない。
 気を張ったまま、あっという間に夜になっていた、雪がただ静かに降っている。
 夜になって、一日中気を張っていた兵士たちが段々気を緩めていた。
 深夜、空が曇って、月の明かりが地上に届かない、用意された松明やキャンプファイヤーがなければ、まさに真っ黒といえる。
 静かな夜、考え事で眠れない、ずっとくらい夜空を見つめていた、頭の思考を整理したいけれど、胸の奥に妙にモヤモヤしている、思考も段々混乱になり、立っても座ってもいられない状況。
 強制的に落ち着くために、外で風でも当たて、いったん頭を冷やそうと考え、外に出た。
 風が冷たく、周りは静かだ、静かすぎて逆に怖くなってきた。
 いつもここら辺が少なくても三人の兵士が見張っているはず、見張りさんのために民家が借りている、そこでですが、その見張りのどころだが、誰もいない。
 テーブルに置いたお茶がまた暖かい、先まで誰かがいた証拠。
 椅子を触ってみると、わずかなぬくもりが残っている。
 厚い上着が部屋の入口に掛けている、部屋全体どこか壊れているわけではない、まるで急に存在自体がなくなっているような。
 そんなこと今の時代ではほぼありえない話だ。
 甲高い鐘の音が聞こえた。
 鐘の音を鳴らすってことは、おそらく肝心な『主役』の登場サインになっている。
 同時にこの鐘を鳴らす意味としては、近くに住んでいる避難していない職人に対しての避難勧告でもあり。避難先は王城内、特殊時期だから、特別に許している。
 慌てて部屋から離れ、いつの間に外の風が荒くなっている、強風に加え雪も降り始めた。
『急がないと! 』
 心の中にお思いつつ、足取りの速度が早くなった。
「うろたえるな、各位位置に付け、偵察隊、各城門まで急げ、火を付けるんだ! 弓兵隊、例のものを出せ! 歩兵隊各防衛ラインに位置を付け!」
 歩くから数百歩、指揮をとる声が聞こえた。
 指揮をとっているのはこの国の将軍、唯一の女性でもあり、彼女がいるから、この国の安定を保っているといっても過言でもない。
 見た目は凛々しく、さっぱりとしたの髪、重そうな鎧を着ているのにも関わらず、動きが非常に素早い。
 彼女が指揮をとっていれば、それぐらい安心ともいえる。
「気を緩めるな! 敵がすぐに来るかもしれない、各位戦闘準備を!」
 遠くの城壁から火の光が見える、予めに設置した引火剤だ、そして、東西南北それぞれの方向から火の光が見えた。
 先まで真っ暗の町が、一瞬明るくなっていた。
 王都の外から獣のなき声が聞こえた、お城の中に避難している人も思わず手の中の武器強く握りしめた。
 王城の中に入った、けれど、戦況を把握する必要がある、女王はすでに地下に避難された。
 戦況を伝えるために、私と部下の一部が王城の中にで働いている。
 お城の塔に立て、となりには副官、副官の仕事が主に簡単な言葉で戦況記録と、いざというときの保険でもある、私が獣に襲われ死ぬという可能性を備え。
 遠くの城壁から金色の光が夜空に照らした、これは獣がすでに接近されているという合図だ。
「弓兵隊、特殊装備つけ!」
 弓兵の方々が特殊の装備を付けた、基本の形すら弓とほと遠い、連射性向上と殺傷力アップするために工房の職人たちが色々変わったらしい。
 防衛ラインは王城と円心に、半円形状で展開されている、逆茂木と盾を前方に設置している、弓兵隊の新式装備はその辺に設置している。
 弓兵隊のほかに、歩兵は主に城の方任せている、砲兵は城壁で戦闘の姿勢をとっている。
 新式装備の大きさは概ね大砲並み、持ち歩きはできないけど、防衛を前提として防衛特化の武器である。
 獣が走ってきた音が段々近づき、一個目のトラップに落ちた。
 好機だ! 
「砲兵、弓兵、よーい、撃て!」
 弓兵が新式装備に火を付けた、正確にいうと、導火線に火を付けた、次の瞬間、無数の矢が空に飛んだ、完璧な放物線を描いてから、ピンポントでトラップの中に落ちた。
 その同時に、大砲も発砲された。
 トラップの中に爆発が見えた。
「ガオ!」
 怒っているのか、けがしているのかがわからない、ただし吹雪が強まっているのが間違いない。
 次の攻撃を仕掛けようとしたら、遠くの城壁から二個の閃光玉が宙にあげた。
「お仲間が来たというわけが、上等だ、砲兵隊、移動用意、砲撃用意」
 砲兵隊が城壁の上に移動した、全大砲が城門外の獣の群れに照準した。
「撃て!」
 大砲が発砲された、耳痛いほどの発砲音が遠くまで届いた。そして、遠くに爆発音と獣のなき声が聞こえる。
 そして、吹雪が段々強まって、正門以外、東と西にも獣らしき姿が確認された。
 デカブツが包囲陣形で迫ってくる、高速で走って、砲弾の爆発範囲から抜けるか、あるいは、砲弾の威力がその身で直接受けるか、どっちにせよ、砲弾の威力があんまり発揮していない。
 城門や城壁で設置した松明などのおかけで、デカブツが城門まで迫ってきているのは見える、はっきりとは言えないけど、うっすらと見える。
 次の瞬間、空から火が付いた矢がそれぞれ城門の前に落ちた。
 火が怖いのか、それとも、攻撃が怖いのか、奴らが城門の前に止まっていた。
 この好機逃れるわけには行けない、大砲で打ち続けていた。
 やはり顕著な効果が見当たらないみたい。
 効果が思ったより薄いようだ、デカブツたちへのダメージがあんまり出ていないようだ。
「砲兵隊、第二段階移行する、砲弾装填!」
 第二段階移している途中の攻撃は弓兵隊で持ち堪えている。
「ドン、ドン」
 大砲がまた打ち出した、よく見ると、装填していた砲弾はドリルのような形をしている。
 着弾、爆発。
 奴らの悲鳴を聞こえた、効果が出たみたい。
 でも、喜んでいる場合じゃない。
「正門、さらなる敵発見!」
「撃ち続けるんだ!」
「視界不良、何も見えないです」
「砲兵隊、攻撃を止まるな! 歩兵隊、遊撃モード! 城内に獣の侵入を備えろう!」 
 このとき、東門から赤の閃光玉が空に炸裂した。
「敵、城内に侵入! 東門、陥落!」
「やるじゃない、歩兵隊、遊撃陣形、弓兵隊、一番隊、照明弾で視界提供を!」
 照明弾というのは、矢先の部分が取り替えて、火薬を詰め込んだ小さいなボールを取りつき、新式装備で発射する際内部の火薬を引火、そして、射出、空一番高い点で爆発し、一時照明として使われる。
 歩兵たちが馬に乗り、城内の遊撃戦を始まった、ギリギリのラインを保て、城内あちこちに回り、トラップがあるどころにおびき寄せる。
 そのために、弓兵の支援が必要。
「ポン!」
 複数小さい光が空に放たれた、短い時間とはいえ、距離把握と地形把握しては十分だろう。
 それでも、戦況から見れば、由々しきない状況が続いている。
 デカブツ達の進行が阻止しているとはいえ、長く持たない、今稼働中の大砲の一部を王都内の防御に回せればなんとかなるだけど、そうにはいかないみたい。
 城外のデカブツが減ったとはいえ、まだ大砲の攻撃を城内に回すほどの余力がない。
 戦いはつづいている、地平線のかなたから光が見えた。強くなっていく、太陽が昇り始めた。
 吹雪も段々弱くなっていた。
 希望が見えたと思っているとき、遠くから、神殿の中にいる獣よりデカイ獣が現れた、発見から、正門突破するまでの時間が少ない、さっきまで遠いどころにいるのに、気がづいたらすでに城門が突破された。
 その巨大な姿の前、何もかも小さく見える、その獣が王城の前に止まった。これを見た私は、副官を連れて、慌てて塔から降りた。
 次の瞬間、塔が破壊された。
 星隕石で強化されたはずの王城が一撃で壊された。
 王城入口にいる兵士と将軍を完全に無視された。
「ほお、いい度胸じゃないか、この私を無視して、王城を攻撃するとは」 
「将軍、感心する場合じゃいない、どうしよう、司令部が……」
「うろたえるな、この私がいる限り、司令部などはいらない、おい、デカブツ、ちょっと私と遊ばないか」
 将軍の彼女は言いながら、鞘から剣を抜け出した。
 注意をそらすため、この超デカイデカブツの足元に狙って、剣を抜いて、満身の力を絞りだしたみたいに勢いで切りかかった。
「キン!」
 まるで硬い鉄でも切ったような音。
「かた! でも上等だ、これくらいしなきゃ」
 彼女の脳回路どう作っているのかわからない、主の前には
 同時に、彼女の勝負欲も激発されたようだ。
 うまく注意を引き寄せたのかな、それとも、虫けらに見える私たちは反抗に挑んだのか、わからない、とにかく、うまく注意を引き寄せたらしい。
 城のことを見ているはずの主は首を曲げて、後ろに見た。
 そして主は体の方向を調整し、彼女のどころに向かって、かみつけようとしている。
 間一髪だけど、かわした。
『ナイス! 』
 心のなかが思わず叫んた。
「将軍、あんたがいなくなったら誰が指揮をとるのですか」
「各々の判断に任せる! 逃げるか、戦うか、おまえら次第」
 めちゃくちゃだな、でも、仕方ない。
 主の出現により、戦況が大きく変わった、ざっと見たけど、これからどうなるか誰にもわからない。
 主の注意を引き寄せた将軍は、城内の被害を抑えるため、自らおとりにして、主を城外までおびき寄せた。

       ×            ×             ×

 将軍視点
 こいつは強い、力が圧倒的だ、でも、あたしもあきらめるわけには行けない、あたしの背中には国を守るという重任を預かっているので、逃げるわけには行けない。
 体がデカイ分、スピードも遅いという考えはもう捨てた、デカイゆえに歩幅が大きい、その分、多少遅くても、歩幅でその距離を詰める。
 こいつの体が硬い、精鉄より硬い、硬い割には機敏な動きができる。
「上等じゃないか、あたしが遊んでやる」
 いままで、こいう大きな、しかも敵意をしっかり持つ相手と戦うことがなかった、ですが、正直どう戦うかわからない、今ができるのは、こいつの攻撃を見極め、あとは隙間を狙う、弱点らしい弱点を攻撃するしかない。
 いろいろ対策を考えているうちに、大きな前足が風圧とともに薙ぎ払いってきた。
 勢いでしゃがんだ、間一髪、ギリギリのどころで、頭の上から巨大な前足をよけた。
 風圧だけで、かなりの力を込めているのは分かった、正面から撃ち勝とうなんて、まずは無理の話、こうなると、デカイ体の死角を狙い、戦うしかない。
 こいつ、あたしがしゃがむときを狙って、もう一本の前足で殴りしにきた。
 さすがによけられない、こうなると、剣を身の前に構え、姿勢はなるべく調整し、衝撃を最小限にしないと。
 前足が強烈な風とともに、押しかかってきた。
 そして、飛ばされた。
 この一撃を思ったより重かった。
 今の一撃でたぶん骨の2、3本折れたかも、胸のどころの激痛が止まらない。
 ちょっと胸のどころを見たら、胸甲が完全に割れた。所詮、我々が全力を挙げた作ったものはこれくらいか。
 状況確認している時間がない、あいつの次の攻撃が来た。
 今回は前足じゃなく、その巨大な口を開け、直接に噛もうとしている。
 今回は受け身の状態から抜け出したい、いつまでも防衛だけじゃいけない。こいつと消耗戦したら、先に死んだのは私であるのは違いない。まぁ、向こうもそのつもりがなかったけどね。
 巨大な口が迫ってきた、口の中の生臭い匂いがはっきりわかるほど近くなっている。
 私の狙いは、あいつの目と腹だ。
 もちろん、ただ立って向こうからかかってくるのは待つのではない、こっちから色々を仕掛ける。
 その前、攻撃をよけなければならない。
 主が大きな口を開いて、掛かってくる、その隙を狙い、腹部にスライティングし、剣を出し、腹の部分を狙い、勢いで刺し込もうとした。
 ですが、こいつの硬さが思った以上、剣先が削れたほどになる、対して、こっちからの攻撃が全く通じない。
 多分こっちの攻撃が感じただろうか、後ろ足が私の方向に蹴りかかってきた。
 急いて姿勢変更し、左から出ようとしたら、その先で巨大な頭が待っている。
 こりゃ、終わりだ。
 一瞬そう思った。
 でも、心の中から生まれた『生きたい』という強い意志が頭の中に高地をとった、そして、無茶かつ大胆な決断をした。
『目だ! 』
 あそこだけが、なんとかしたい。
 あそこだけが、逃さない! 
 剣を鞘に納め、代わりに短剣を持ちだし、片手を胸の前に置いた。
 体の姿勢を低くしながら走りだす、ちょっとでも速度を上げて、スライティングして、口寸前まで、無理やり体を左に曲がり、体が横転し、短剣を地面にさし、体の横転を止めようとした。
 こちらの動きが見えていないのか、それとも他の原因があるか、わからないけど、口が開いたままになっている。とりあえず、あれこれ考える余裕がない、すぐにでも、立ち直し、短剣をもって、勢いで突撃した。
 突然、あいつ頭がこっちに向いた。次の瞬間周りが急に暗くなっている、意識再び戻ってきたときは、伴っているのは死ぬほどの激痛、痛みにより、状況がまともに判断できない、何かあったのは全くわからない、でも、手元の触感と体が感じる揺れがが唯一の情報。
 手元の触感と感じられる揺れを頼りにし、概ねの状況が理解した。
『もしかして、ここは、こいつの口の中』
 確かめよう、そのために光源が必要手の中に握った短剣を思いっきり刺した見た。
 痛みつけられたそうだ、口が大きく開き、ものすごい獣のなき声が聞こえる、耳が壊れそうなくらい。
 光源のおかけで、見えた、私の両足がいなくなていたのは分かった、血が噴泉のように湧き出している。
「もう時間がないか、もうちょっと行きたかったな、どうせ最後だし、死んでもこいつを地獄まで連れてやる」
 そう決めたら、口の中に暴れだしていた、牙を剥くように、必死に赤いどころを攻撃している、牙の周りが柔らかいが、それでも、ひと苦労した、その間、こいつが必死に私を口中から追い出せようとするが、何とか耐えた。
 牙が剥きだし、すでに折れた短剣を捨て、牙を手に持つ、そのまま暗い底に落ち、お腹らしきどころで暴れ回った。
 最初はすごく揺れが激しいが、段々揺れがなくなり、周囲の温度も下がってきた。
 私も最後の力を絞って、お腹から脱出し、背中を木に寄りかかった。
「もうちょっと長生きしたかったな、あぁ、父さん母さん、お向いに来たのね、どうか不孝な娘をどうかお許し……」

    ×            ×            ×

 イアン視点
 あれから、戦いはしばらく続いた、ある境目から、雪が止んで、晴れ空になった。王都のあちこちが獣死体と人間を食いちぎった死体、将軍はあの戦いから帰ってこない、けれど、あの主も将軍も帰ってこない、多分、状況的に考えると、相打ちでもしたのでしょう。
 私は非戦闘員として、この戦いを最後まで見届けた。
 あんまりにも惨烈な戦いだった、恐らく、この記憶一生忘れないだろう。 
 あれから数日、獣が襲ってこない、けれど、誰も警戒緩めたりしていない。みんな警戒をし続け、戦場を掃除し始めた。
 城内には原型を保った民家ほぼいない。
 民家の近くにはちぎれた死体が地面に転がっている、生き延びた人がそれらを集め、城外の見晴らしのいいどころに墓場を作った、そこで死体を燃やし、埋めた。
 さらに数日後、王家が王城地下から出た、戦いは正式に終わりを告げた。こっちも多大犠牲を払った、特に痛いのは、有能な将軍を失ったこと。
 戦場掃除のとき、ある事が気づいた、獣の大半はドリルみたいな砲弾で体の奥までを貫いた、本当の死因はその後の爆破。死んだ獣の皮膚と毛は一気に柔らかくなっていた、死体の中には偶々頭の部分が強い衝撃を受けて即死した獣もいる。即死の故、毛と皮が硬さを維持したままになっている。試しに地上に落ちた剣を拾って切ってみたら、剣身が折れたほどの硬さ。
 兵士の一人が王都から遠く離れた森に、獣の主らしき死体が見つけた。死体をよく観察すると、腹の部分が赤く染めた、なかから切ったらしい、死体の近くに折れた剣と人間の両足が発見された。
 おそらく、主が将軍を喰った、けれど、将軍はなぜか即死してない、腹の中に短剣か何かで内臓にダメージを与えた、だから主が死んだかも。
 色々あと片付けの時、将軍の死体が発見された、片腕がなくなった、両足がちぎれたあとが残っている、鎧がボロボロ、顔や体全体に赤く染めている、体の部分がでかい爪あとが見える、骨まで見える傷の深さに驚いた。
 彼女の片手に強く握ったのは短剣でも、ナイフでもない、主の牙だ、主の牙を使って、腹を切って、内臓を壊したので、主も苦しんで死んだみたい。
「お疲れさまです、将軍のおかけで、戦いに勝った。女王も無事だ。どうか、安らかに眠るように」
 私が彼女の死体を見て、軽く戦況を報告した、そして、先まで強く握った牙の手も柔らかくなって、牙が手の中から転がって、彼女の隣で落ちた。
 彼女の勇姿を記念すべきだ、この森の一番大きい木の下に埋めた、牙とはいけんが墓標として立ていた。
 この戦いで犠牲になった方々を記念するために、中央広場で記念碑を立てる予定です、
 記念碑の正面は城門を見つめ、記念碑の後ろは守るべき国、というコンセプトにし、女王の許可をもらった、春になると正式に着工するだろ。
 春、天気も段々暖かくなっていた、色々あと片付け終わり、外で避難された人も戻ってきた、それからは王都の復興に取りかかわっている。
 その後のことはわからない、私は長き住でいた故郷から立ち去った、どこかの暖かい場所で新しい生活を始める、そのまま一生を過ごすつもり。
 そして、かの地で命を捧げた英雄たちの物語を作り、後世に残る。

(了)