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 あれは殿は藩主を継ぐために薩摩へ向う途中、京へ着く頃、殿は私にそう言った。
「暁、私はこれから知り合いの公家のどころへ訪ねる」
「わかりました、お供を――」
「まあ、待ちたまえ。関と為久は私と供にいくから。あなたに別命がある」
「……それは一体……」
 そして、命じた。
「この一日にこの京を回り、あなたの目に映った京を私に伝いろう」

「……どうやって見るのか……」
 私は今、京の町に歩いて、先の命について考えた。
 殿はその後、関先生達と供に公家のどころへ訪ねてきた。
 おそらく殿は、私は自分の目と足を使って京を回った後、京に対した考えを聞きたいだろう。私を試されているというのか。
「……殿に失望させわけにはいかないな」
 この町を見極めてもらうか。
「決めたら早速――ぷわ!? 」
 誰とぶつかりました。
 落ち着いて相手を見ていた。相手は烏頭冠を被り、高級の服を着ている。公家の人た。
「……麻呂をぶつかるとは、やはり異人は野蛮なようたな」
 やっば、殿に迷惑をかけるわげにはいかない。
「申しわげございません。私は注意しないゆえのこと、どうがお許してくださいません」
 すぐに土下座をして相手の公家に謝った。
 相手は驚くようにだがすぐに冷静を戻っていた。
「お主はどこの侍なのでごじゃるか」
「はい、私は薩摩藩の神寺暁と申します」
「ほう、薩摩のものでごじゃるか。……いいだろう、今回麻呂は薩摩藩主の友情を免じて、特別に許してごじゃる」
「ありがだきしあわせ」
「うん、おもてをあげろう」
 頭を上げて、その公家を見たら公家は私に手を伸ばした。といつもりか。全然わからない。
 公家は私の疑問を気付き、私に近付いて――。
「分からないならはっきりと申す、許したげれば早く銭を出してごじゃる」
 ……どうやら公家はもう腐りきたようだ。
 
「あれはあの斉彬公の配下なのか。岩倉様」
「あぁ、間違いないでごじゃるな。けど……」
「岩倉様?」
「いや、行くでごじゃるぞ」
「「「はっ」」」
「……あんな年でそんな目を持つとは、斉彬公は一体どんな考えて側に置いてごじゃろうか」

「あのヤモリ顔め、結局全部を巻き掻いた」
 私は今、座って川を見ながら先の件に腹を立つ。あのヤモリ顔は私の身にある全財産は全部奪われた。
「――何故あんな腐り野郎は今また存在している」
「それはな、公家は帝の臣だからだ」
「!」
 声の方へ見たら、そこは長い黒髪、20歳ほどの美人がいた。美人は私の戸惑を構わず話をつつげだ。
「日ノ本の人々にとって、帝は神と等しいだ。
 だが実権を握る幕府でも公家に対し、手荒い真似はできない。それに、公家も役命があるから」
「役命?」
 美人は笑ってこう言った。
「公家の役命は征夷大将軍と帝の連絡と調和だ。
 この国は幕府と朝廷、二つの支配者がある、実権を握るのは幕府だけと帝の言葉は無視できない影響力がある。そのゆえに両方の調和は日ノ本の安定に繋がる。
 だがらその役命を担う公家今まで存在をつつげてきた」
 なるほど、確かに日ノ本にとって必要不可欠だ。
 そう思って来た時、幼いの声は響いた。
「おねーちゃん、そろそろいくわよ」
「「「おねーちゃん」」」
 そこへ見れば数人の子供達は美人をよんでいるようた。
「さって、ボクはこれて失礼するは、がんばんばって、神寺暁」
 美人はそう言って子供達へ歩いて離れた。! 待って、私はあの美人に名前を告げだか。

「りょうね、さっきのようかいさむらいはなんだ」
「いや、あれは人間だ。ちょっと話をするだけ」
「おねちゃん、あのなめをたべたい」
「なら、いくか」
「「「はい――」」」
 ぱっ、ぱっ、ぱっ、ぱっ、ぱっ
「……あれは今回の運命の子ですか。神寺暁、本当に可哀想な人たな」

「ただ今戻りました、殿」
 夜、藩邸へ戻る時、殿は入り口で私を待ていた。
「おかいり、暁。今回の成果は聞かせてくれるか」
「はい、この京は天子様の足元のゆえに無視できません。武家は天子様と会うには公家と取り付く必要があります。そのために……」
 あの日、私の考えを聞いた殿は満足の顔をしていた。